Teck Performer Vol.11

川村岳大
岸釣り遠投術

Teck Performer

■バスタックルで100mを狙える時代

岸釣りをやっていると誰もが一度は思うはずです。
「もっと沖へ。もっともっと遠くへ・・・」
それに応えるべく、メーカー各社は、しのぎを削り合い製品の性能をドンドンと向上させてきました。
それに伴い、アングラーの遠投距離の限界点も70m、80m、90mと伸びてきます。

気が付けば、遠投大会では100mを越す時代。
しかし、それは、キャストの巧さも重要なところ。
リールやロッドを高額、高性能で揃えたところで、距離の限界が伸びるわけでもないのです。

距離を伸ばすために一番必要なのは、アングラーのキャストの技術。
その一つが「サミング」
リールのブレーキに頼り過ぎていては、伸びるものも伸びません。

まず第一に、メカニカルブレーキは絶対に緩々にしておかないといけません。
そして、メカニカル以外のブレーキもできるだけ少なめで。
そのブレーキを減らすためには、「サミング技術」が必要になります。
そこを簡単にしてしまうのが、、シマノのデジコンなのです。
これを用いれば、かなりの人が急速な技術向上を得られるのですが、またそれは別のお話。

しかし、それらを用いたとしても、次の課題が出てきます。
キャストのフォーム、「投げ方」です。
どのようにして、ルアーに力を持たせ、どのようにロッドを曲げ、そして、それらの力を、どのようにしてきれいに放ってやるか。
そして、体のひねりと重心移動も結構重要な要素だと考えております。

■使用タックル

ロッド メジャークラフト・デイズ73H、80MH
リール シマノ・アンタレスDC
ライン サンライン・ベーシックFC14lb
ルアー MY'sオンリーファクトリー・エビメタル24g

タックルについては、キャストのタイプや好みによって個人差があると思いますがひとまずは僕の考え方でお話しさせていただきます。

ロッドは、単純に言うと長い方が飛距離は伸びると思います。
ただ、自分の力に合わなかったり、ロッドのテーパーなり重さなりで振り切れないようだと飛距離は伸びないと思われます。
テーパーについては、レギュラーファーストかファーストでいいのではないかと思っています。
レギュラーテーパーでも十分かと思いますが、まあ、そこはなんとなくの世界です。
ちなみに、遠くに投げた後のバスを釣るときの感度は、ファーストに近いほどよくなる気がしております。

ラインは、これまた、単純に言うと細いほど距離が出ます。
しかし、コレに関しても、細過ぎると「切れてしまう」という点である程度の太さが必要だろうと思います。
投げる重さを考えて、ラインを選んでください。

僕は、エビメタル24gの大遠投では、基本フロロの14ポンドを使用しております。
飛距離のみを考えるとナイロンの12ポンド、14ポンド、フロロでも12ポンドに細くした方が圧倒的にいいのですが、釣ることまでも考慮するとナイロンでは70m超えだすと極端に感度が鈍ってしまうので、釣れないわけではありませんが感覚が鈍過ぎて釣りがつまらなく感じてしまうので、やめました。

フロロの12ポンドに関しては、別段困ることはないのですが、距離のある釣りですのでちょっとした傷に掛かる負担がことのほかデカイ。
例えばですが、素手で引きちぎってみるときに短いラインは切れ難いですが、長いラインは切れやすい。
これは、長さゆえに伸びが出てしまい、伸びることによりライン自体が少し細くなってしまい、ポンドが落ちてしまうという現象が起きているのではないかと考えています。
そのほかにも、長く伸びたラインのどこかに傷があるからだとも言えると思います。

根掛りなどでルアーをなくすか回収するか勝負するときも同じです。
最後の勝負で切るときには、できるだけ短めで勝負する方がいいですよ。
その方が最後の粘りが違います。

ラインが傷んだり切れたりしたときに備えて、いつでもその場で巻きかえられるように、予備を用意しておくのがいいでしょう。
僕は、ベーシックFC300m巻きスプールの最初の2回、100mずつは家でリールに巻いて、残りの100mは釣り場へ持って行くようにしてます。

後はリールですね。
コレは、間違いなくDC(デジコン)ですね。
ほかのリールがダメだというわけではないのですが、お勧めしろと言われるなら、ということです。
できれば、お勧めしたくないという気持ちもありますが(笑)

DCは、今までのベイトリールの核であるブレーキシステムの構造と考え方を飛躍させた感じです。
とりあえず、とんでもないことです。

ベイトリールのキャストを頑張って練習してきた人ほど、このリールの凄さがわかると思います。
そしてきっと、こう言うでしょう「このリールはダメだ・・・最悪のリールだ」と。
今まで自分のやってきたことを、いともあっさりリールがやってしまうんですから・・・。
いやはや、ホント、困ったもんです・・・凄いです。

■キャスティングフォーム

キャストのコツは・・・。
コレは、言葉では難しいのですが、大きくゆっくり力を入れていき、そして素早く力を抜いて振り抜く。
できるだけ、ブッ飛ばそうという気持ちを出さずに、大きく遠心力の力を感じながら、それを逃がす感じで70度ほどの角度で解き放つ!
そんな感じでしょうか?

1>体は真後ろを向いて、ロッドティップはほぼ右真横、右手を伸ばした状態からキャスティングをスタートします。このときタラシの長さは約30cmしか出ていません。キャスト前に周囲の安全確認をお忘れなく。
2>ロッドティップをゆっくり後方へ回していくと同時に左手をグリップエンドに添えます。
3>後方から上方へ次第にロッドティップを振り上げていきます。その間にスプールを押さえている右手親指の力を緩め、タラシをロッドの全長に近いくらいまで伸ばします。
4>この位置ですでにタラシが伸び切っています。後方からの写真にルアーが写っているのがわかるでしょうか。写真に写るくらいだから、ルアーの速度はまだそんなに速くないことがよくわかります。
5>ロッドを最も振り上げた状態。このときの後方からの写真にもルアーが写っています。この位置でためを作って、ルアーが最も高い位置まで上がり切るのを待ってから、後方へのスイングに移ります。
6>後方へのスイングを開始。ルアーはロッドで引かれる力と高い位置から降りてくる力の合成力により急加速します。
7>後方から前方へスイングを反転。分解写真を観ても、ムービーを観ても、ロッドティップは頭よりだいぶ高い位置で反転してることがわかります。
8>前方へフルスイング。後方へ振られて行ったルアーは、強い遠心力を伴いながら前方上向きに方向をかえて行きます。
9>ルアーに速度が乗り切ってリリース寸前の位置。タラシが長いことにより、ここまでロッドを振り込めることがよくわかります。
10>ルアーをリリースした直後の位置。ロッドを前方へ振り初めてからここまではほんの一瞬。リリースのタイミングをよく聞かれますが、そんなこと説明のしようがありません。
11>ロッドを振り切った状態。ロッドを振る力が完全にルアーに伝わり切っていれば、スムーズに力が抜けて無理なく振り抜くことができます。
12>フィニッシュ。後ろからの写真はほぼ完璧なフィニッシュ。横からの写真は重心移動が左へずれて最後によろけています。転倒にはご用心を!!

■安全のために

最後にご注意を・・・。

メタルブレードが切れて飛んだら、とても危険です。
近くにいた人のルアーが真横に飛んで、足元の石にカンカラカンと当たって恐い思いをしたことがあります。
なぜか真後ろにキャストしてる人もたまにいます。

キャスト前に周囲の安全を十分に確認すること。
それと、ラインのルアーに近い部分の傷のチェックはこまめにしてください。
同じ理由から、いくら遠投できた方が釣れるからと言って、無闇に細いラインの使用はお勧めできません。

解説
川村岳大
(かわむら・たけひろ)

1974年生まれ。京都市山科区在住。タックルショップ・バスフィールドを経営しながら、可能な限り釣りに行きまくる。営業日も釣りに行ってるから、最新情報にめちゃ強いショップとして熱狂的ファンが多い。ニックネームはてんちょ。岸釣りのメタルブレード、バイブレーションプラグ、トップウオータープラグ、バズベイトなどハード系が得意。


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