田辺哲男の
Thinking Bass Game


No.21 寒さを感じたら縦のストラクチャーに注目
(11月中旬のパターン)

 11月中旬になると、寒さを防ぐジャケットを着ていないといられない、という日が多くなってくる。たびたび吹く北風の冷たさが、それまでとはかわってくるし、朝夕の冷え込みもグッと体中にしみ込むような感じになる。フィールドの風景も緑が少なくなって、冬が近いぞと思わせる要素がすごく多くなってくる。

 それでは、この時期、バスがいる水の中はどうかというと、これがまだ、よく釣れる秋の要素をたっぷりと残している。

 水温は気温に引きずられて下がるものだから、地上は寒くなってはいても、水の中はそれほど寒くなっていない。たっぷりと水をたたえた大きな湖ほど、この傾向が強い。そのあたりのギャップにだまされてしまうアングラーの多いのがこのころだ。

 前回にも書いたが、生半可な知識のあるアングラーほど、ちょっとバスが釣れないと、何か自然現象のせいにしようとする。例えばフォールターンオーバーとか、秋の後半の強い冷え込みとかは、彼らがバスをキャッチできないときの、格好の口実になる。

 だけど、ちょっと待ってほしい。そんなときにバスが釣れない理由を探してばかりいるなんていうのは、よい結果には結び付かないまったく無駄な努力だ。それよりも、何が間違っていたのか、バスがどこかへ動いたのか、あるいはいたけど釣ることができなかっただけなのか、ということをよく考えてほしい。

 どんな日にも、どんなコンディションでも、釣ってくるアングラーはかならずいるものだ。そいういう正解のパターンに近付こうとしないで、不正解の理由を一生懸命探すような考え方では、バスフィッシングは絶対に進歩しない。僕がいいたいのは、そういうことなのだ。

 さて、地上の気温は下がってきた。だけど水温はまだバスの適温の範囲内だ。そんな時期のバスは、いったいどんな場所に付くのかというと、ズバリ、縦のストラクチャーに注目してほしい。湖の岸が切り立った所、あるいは傾斜の急なかけ上がり、高さのあるウィードが壁のようになった部分、護岸や防波堤、杭、ボートドック、桟橋の支柱などのマンメイドストラクチャーは、すべて縦のストラクチャーだ。

 だから、例えば秋から冬に向かってバスが集まりやすい、メインレイクに面した岬を攻める場合でも、その岬の中のよい場所にある縦のストラクチャー、というようなスポットの選び方を心がけることが大切になる。岬の先端付近を釣る場合なら、先端部からさらに沖の傾斜の緩やかな所を狙うよりは、両サイドの傾斜の急な部分を狙うとか、立ち枯れた林があれば、それに注目するというような具合だ。

 ここで大サービスして、秋のバスフィッシングに特によい岬の探し方を紹介しておくと、近くにエサ場になる砂場のワンドがある、ということが一つの目安になる。なぜ砂場のワンドがよいかという点について、はっきりしたデータはないが、最近になって気付いたのは、秋のベイトフィッシュが砂場のワンドを好むらしいということだ。

 次に、それらのストラクチャーにバスがどんな付き方をしているかだが、中層にサスペンドしていることが非常に多い。そこで問題になるのが、どれぐらいの深さにバスがサスペンドしていて、それをどうやって釣るかということだ。秋のバスのタナは、そのときの条件次第ですごく変化しやすいからやっかいだ

 それでは、このバスを釣るためにはどうすればよいのだろうか。バスは縦のストラクチャーに付き、中層にサスペンドしている。水温は適温の範囲内だから、冷たい北風がまともに吹いているとか、異常に寒い日以外なら活性もそれほど低くない。

 ここでお勧めしたいのが、チューブベイトのライトジグヘッドリグによるフォーリングだ。例えばマリーナなどで、縦のストラクチャーに向かって、ジグヘッドリグを投げまくる。それだけで、大小入りまじってたくさんのバスがバイトしてくる。ブレイクラインやウィードのエッジでも、考え方は同じだ。

 この場合、私がメーンに使うのは1/8〜1/16ozのジグヘッドにサスペンチューブをセットする。チューブのカラーは明るめのスモークやパンプキン、ウオーターメロンなどだ。アタリはフォーリング中の糸フケで取るが、トンとかツンとか、比較的はっきりと出るから、それほど難しい釣りではない。

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