田辺哲男の
Thinking Bass Game


No.1 真冬の午後にスピナーベイトが炸裂
(1月中旬のパターン)

 秋から冬にかけて、下がり続けてきた水温が、下がり切って最低になる。1月中旬というのが、だいたいそういう時期だ。

 水温の低下が8度ぐらいで止まるレイクもあれば、4度とか3度とか、もっとひどければ凍結してしまう所もある。しかし、この時期に最低水温が、ほかのレイクよりも2度高いからバスが食うとか、そういうことはめったにない。寒くて釣りにくいのは、どこへ行ってもそれほどかわらないというのが、真冬のバスフィッシングの考え方のスタートラインだ。

 この時期がそれまでと違うのは、バスは基本的には食う気がなくて、水温が上がったようなときだけ釣れるようになることだ。水温8、9度までのころなら、ひどく冷え込んだとき以外は基本的に釣れる可能性があった。その違いを理解して、釣るための方法もかえていかないといけない。

 エリア的には、波の影響を受けにくいディープエリアとか、北面の南向きのワンドのような波風が当たりにくい地形の中の少しでも水温が上がりやすい水深2、3mまでのシャローとか、そういう条件の場所の中から絞り込んでいくことは、冬の始めまでとかわらない。これらの場所の中でも、バスの本当の付き場所がさらにスモールスポット的になってくるのは、本格的な越冬シーズンであるということを考えれば当然の現象だ。

 ところが、ここに危険な落とし穴がある。バスがスモールスポットに付いているからといって、そのスポットだけを時間をかけて攻めれば釣れる、と考えるのは間違いの元だ。

 最初に書いたように、この時期のバスは基本的には食う気がない。ルアーにバイトしてくるのは、たいてい水温が上がりつつある好条件のときだけだ。ところが、バスがいるはずのスポットを攻めるということになると、そのことを忘れてとにかく時間をかけ、釣りをどんどんスローにしていってしまうアングラーがあまりにも多い。

 これでは、元々食う気がないバスを相手に、自分から釣れない方向にはまり込んでいくようなものではないか。この時期の食う気のない魚に、ルアーを食わせることができるテクニックがあったら、僕の方が教えてほしいぐらいだ。

 それよりは、水温が上がる場所やタイミングをとらえて、食う気になってる魚を釣ることを考える方が、結果的には効率がよいということを理解してほしい。これをいいかえれば、食う気のない魚は最初から捨てる、ということになる。

 それではバスがどんなときに食う気になるのかというと、水温が1度でも2度でも上がりつつある、まさにそのときがチャンスとなる。だから、日差しの暖かいおだやかな日の午後などは、釣れる可能性の高い好条件ということになる。1月上旬までなら、こんな日は昼前から夕方まで釣れたりすることがあるが、水温が最低の時期になると、チャンスは午後の2、3時間だけというようなことが多い。この短いチャンスを的確にものにすることだ。

 それには経験がものをいう、というような言い方は無責任だと思うのでヒントを書いておこう。例えば、ものすごく寒い時期に、アシ原の奥の水深が50cmもないような所で、40cmオーバーが釣れたりすることがある。これなんかは、アシ原が波風をさえぎるストラクチャーになっていて、水温が上がりやすいシャローという条件にあてはまる。

 もう一つの例は、アメリカのレイクなどでも通用するのだが、真冬になってもウィードがしっかりと残っている所にはバスもいるということだ。ウィードが残っているということは、水質もクリアで水温変化が少ないとか、大きな波が出にくいとかいう条件がそろっているわけで、バスにとっても好条件がそろっている。また、湧き水が出ているようなエリアも多い。ウィードはバスにとって、湖流をさえぎってくれるストラクチャーでもあり、そこに日が射し込めば他のエリアにくらべて水温も上がりやすい。とにかくあまり難しく考えずに、問題を単純化することだ。

 釣り方は、意外とスピナーベイトがきく。1/2oz以上のヘビーウエイトのもの、例えばクリスタルSダブルウイローリーフの3/4ozなんかを使って、スローロールのただ巻きをしていると40cmオーバーが何尾もヒットしたりすることがある。この方法は、真冬のストロングパターンの中でも、爆発力の点ではもっとも強力なものだ。

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