Presented by B.B.C./Biwako Bass Communications

Editorial
Vol.48(05/02/19)

Bass Fan Netの本当の狙い

 2月2日午後7時、突然のBass Fan Net(BFN)設立発表。アイデアの提出から設立発起人と賛同者のリストアップ、システムの構築まで、わずか2日足らずの早業であった。

 事はそれだけ急を要した。特定外来生物専門家小グループ会合の合意によりバスの指定を先送りするとしていた環境省の方針が、1月21日午前の環境大臣の発言で一転。同日午後の魚類専門家グループ会合を経て、31日の専門家会合でバスを含む37種の指定種リストが環境省案通り了承された。その間、28日に千葉県幕張メッセの国際フィッシングショー会場で日本釣振興会と日本釣用品工業界が行った意見表明は閑散としたもので、それ以外の具体的な動きと言えば、ネットで即座に呼びかけが始まった環境大臣と環境省に対する抗議メールとファックスへの協力を後追いで告知したぐらいのもの。国際フィッシングショー会場でも、ショー全体としてのまとまった訴えかけは何もなく、危機感を持った一部メーカーのブースでパブリックコメントの案内などが行われていただけであった。

 2月4日からはフィッシングショーOSAKAが始まる。その前にもパブリックコメントの募集がスタートするかもしれない。そんな切羽詰まったときに、バスアングラーには大事な情報がほとんど何も伝わらないという閉塞状況を撃ち破るにはどうすればよいか。そのための切り札として編み出されたのがBFNである。いわばバスアングラーの最終兵器みたいなもの。これがうまくいかなかったら、バスアングラーはこれまで通り、前時代的な大艦巨砲主義的戦術で闘うしかない。あるいは、電子兵器の時代に竹槍で対抗するようなもの。これではお先真っ暗である。

 そんな期待を込めてスタートしたBFNなのに、メンバー登録がいまいち伸び悩んでいると聞く。2月中旬時点で3万5000人をやっと越えたばかりで、こんな調子では当初期待した10万人にはとても届かないのではないかと、早くもそんな心配をし始めた人もいる。それとは逆に、BFNのシステムの元になった滋賀県釣り団体協議会のネット登録メンバーが2万人台だから、それにプラス1万人なら妥当な線ではないかとの意見もある。まだ雑誌などでは告知されてないので、記事が出たらどっと増える可能性もあるが、もしかしたら一般アングラーが登録に二の足を踏む原因が何かあるのかもしれない。十分な説明ができてないのかもしれない。そのあたりのことについて、これから書いていきたいと思う。

 ただし、このページを見てる人数なんてたかが知れてる。ここで書いたことが正解だとしても、それを何万という人に周知するには、お読みいただいた皆さんがいろんなページやBBSに書き込んでいただくなり、友人や知人に直接伝えていただくなり、そういうご協力がないことにはとても広く伝わっていかない。その点、よろしくお願いする次第である。

 まず最初に、いったい何をやりたいのかという点について。BFNの趣意書にも書かれている通り、目的はいたって明快。バスアングラーの、バスアングラーによる、バスアングラーのための、開かれた組織を作ることである。だからバスアングラー以外の釣りをしない業界人は、発起人や賛同者の中に1人もいない。バスプロであろうと、メーカーの人であろうと、メディア関係者であろうと、それ以外の超有名人であろうと、全員が1アングラーとしてボランティアで参加している。そんな人達が超党派で、イデオロギーや個人的な嗜好、お金持ちかそうでないか、釣りと仕事とどっちが大事か、一生懸命バスフィッシングを続けてるか近頃ちょっとさぼり気味かなどという違いを乗り越えて一致団結した上で、1人でも多くのバスアングラーに参加してもらおうというのがBFNの趣旨である。

 少しでも多くのバスアングラーに参加していただくためには、まず自分達が範を示さないといけない。というわけで集まった設立発起人と賛同者の顔ぶれのすごいことすごいこと。こんな名前がよく並んだもんだと、ちょっと恐くなってしまうぐらいだ。これはほかでもない、言い出しっぺの2人が電話やメールで1人1人お願いして承諾を得た人ばかり。中には太平洋を越えた国際電話で伝言ゲームのようなお願いの仕方をして快諾を得たケースもある。それがたった2日足らずの間のことだからすごい。もちろん賛同者は現在も増え続けていて、リストは順次更新されている。賛同者の後ろの方に置いとくのはもったいないような有名人も後日追加で入ってきてるが、その点は皆が1アングラー、順不同ということで誤解なきよう。また、連絡が遅れて後回しになったり、まだ連絡が取れてない、あるいは単純に忘れてるなど失礼の義は平にご容赦いただきたい。

 運営はいたって民主的と言うか、集まったメンバーを特定の方向に引っ張っていこうとか、強制的に何かをしてもらおうとか、そういう考えはいっさいない。誰かから何かをやろうという有意義な提案があれば、それがBFNの趣旨に添わなかったりむちゃくちゃなものでない限り、その提案はネットを通じて全メンバーに伝える。もちろん、日本釣振興会や全日本釣り団体協議会、その他の団体がアングラーに呼びかけて何かしようというときは、それも迅速に伝える。それで賛同者が多ければ、今までは不可能だったすごいことができるかもしれない。そのためのネット組織なわけだ。

 その目的のためには1人でも多くのバスアングラーに参加してもらった方がいい。それが10万単位になれば、さらに大きなことができるかもしれない。誰かがバスアングラーの代表としてどこかの偉い人に会いに行くのに、バスアングラーがいったいぜんたい何人いるのかさっぱりわからないというよりは、何万人、何10万人が集まった組織がバックにあった方が断然いいに決まってる。BFNの趣意書に書かれた「登録」という言葉の意味はそういうことだ。何か意見を言うときに、この意見には何万人のバスアングラーが賛成してるというデータがあったら説得力がぜんぜん違う。大勢のバスアングラーがネット登録した組織なら、簡単なアンケートシステムを構築するだけで、たちまち意見を聞くことができる。ネット登録でバスアングラーを結び付けるというのは、そういう考え方である。

 民主的組織だから、組織としての情報発信はあくまで組織内中立を旨とするが、組織を離れた個人としての発言や行動は自由である。設立発起人であろうと、賛同者であろうと、1参加者であろうと、いろんな所へ行って、いろんなことを言うのは制限しない。もちろんBFNなんかやめた方がいいなどという不届きな考えの持ち主は最初から参加してないはずだから、その点は問題ないとして、自由発言、自由行動で齟齬は生じないのか。別に何らかの合意を形成しようとか、具体的な一つの目的に向かって全員が一致団結して突き進もうとか、そういう集団ではないから、誰がどこで何を言ったって、何をやったって関係ないのである。だから、いつも憎まれ口たたいてる筆者なんかも参加を許されてるわけだ。

 外での発言は自由というところから、いろんな誤解が生じてくる可能性はある。民主的にやっていこうと思ったら、そういうのも許容していかないと仕方がない。あるいは、時間がかかるのを覚悟の上でお互いが理解し合うかだ。例えば、メンバー同士が大喧嘩してても、それは外で大いにやっといてもらって、BFNの中での緩やかなつながりだけは残しといてね。あるいは、BFNが原因で喧嘩するのだけはやめといてねと、そういう考え方をすれば万事うまくいくわけである。もし、それができない人がいたらどうするか。民主的組織であるからには、退会していただくのも自由である。あとはご自分の判断でどうぞ……。

 また、こういう例もある。BFNのメンバーを増やすために、どこかの組織が所属会員に1人あたり10人以上のノルマを課して強制で勧誘させた。しかも、集めたメンバーの名簿を提出せよという縛り付きで……。こういうことをやったら、一般のバスアングラーは引いてしまうのではないか。確かにその通りかもしれない。だが、ここは一つ、BFNに関してはそれも許すということにしていただきたい。そういうやり方しかできない組織なんだから仕方がない。それはそれでがんばっといてもらって、一般アングラーは自分達の力で1人でも多くのBFNメンバーを集める努力をしていただきたい。それで最終的にものすごい数のバスアングラーが登録してくれたら、集まったメンバーに色が付いてるわけではないんだし、派閥を作ったって何のメリットもないし、特定の組織の圧力で何かがどうにかなるような集団じゃないし、プラスにはなってもマイナスになるようなことはないんじゃないか。そんなのもすべて呑み込んでしまおうよと、まあそういうことである。

 さらに別の例。BFNについて、あっちで言ってるのと、こっちで言ってるのと、話が違うぞ。いったいどっちが本当なんだ。民主主義の自由発言だから、こういうこともあり得る。ならばどうするか。まるっきりの嘘は困るが、自分はBFNにこういうことを期待してる、こういうことをしたいと思ってると言ってる内容の違いなら、自分の好きな方を信じればそれでいい。そして、信じたことを実現したかったら、自分でがんばればいい。それだけのこと。誰かの言葉を信じてメンバーになったのに、ぜんぜん期待通りじゃない。これは間違い。BFNは何かをしてくれる組織じゃない。登録して得があるとしたら、せいぜいメールニュースで情報が送られてくるぐらいのこと。あるいは、登録したことがきっかけになって誰かとお近付きになれたとか、そういうことは起こるかもしれないが、こんなのはたまたま起こっただけであって、期待してもらっては困る。

 そうではなくて、BFNはそれぞれのバスアングラーが何かをするための組織だと理解していただいた方がいいかもしれない。ぜんぜん何の組織にも所属してなかったバスアングラーが、ネット登録を通じてBFNの一員になる。メールニュースで情報が送られてきたら、それについて考える。アンケートの募集があったら意見を送る。パブリックコメントの案内が来たら、自分の意見をまとめて提出する。これすべて、バスアングラーの行動。BFNはそれを促すシステムである。

 そういう小さなことがうまく機能して、初めて大きなこともできるようになる。ゴミ拾いのお知らせが届いたら、行ける場所で日程が合えば参加する。フォーラムのお知らせは、行っても話が理解できそうにないけど、誰かに会えそうだから顔を出してみる。今度は裁判の応援だって!? 有名なバスプロが大勢出て来るみたいだから、自分も行ってみようか。なになに、日釣振がバスアングラー集めてデモをやるって!? ちょっと恐そうだけど、この前、フォーラムで知り合ったやつも、裁判に来てた誰々さんも行くって言ってるから、それだったら自分も行こうかな。こういう人が、いざデモが始まったら先頭でプラカード持って大声張り上げてたりして……。

 たかがネット登録で、そこまでいったらすごいと思うが、可能性としてないとは言えない。まずはパソコンでも携帯でもいいから、BFNのホームページにアクセスして登録を……。その先に、どんな世界が待ってるかは、今はまだ誰にもわからないとしか言いようがない。なにしろ日本に前例のない唯一無二の釣り人の組織だけに、これがどれぐらい大きくなるか、どんなことが起こるか予測しようがないのである。ただ一つ言えるのは、BFNがどんなに大きな組織になったところで、バスアングラーが誰1人としてアクションを起こさなかったら、絶対に何も起こらないということだ。その逆に、やる気のあるバスアングラーが大勢いて、そこから起こったウネリがBFNのメンバーに伝わったら、これはとてつもない大きな力になるかもしれない。そこまでいくかどうかは、どれぐらいのバスアングラーが登録してくれるかと、自発的に強い意志を持って行動を起こすバスアングラーがどれぐらいいるかにかかっているのである。

 最後に、筆者はBFN賛同者の4番目に名を連ねているが、なぜそうなったかということを説明しておこう。設立発起人をリストアップしてたときに、入ってはどうかという話があったが、それはこちらから辞退した。理由は、各方面に敵が多いということ。そのことを言ったら、あっさり受け入れられたから、相手もそう思ってたのねとしみじみ納得。だったら賛同者ということで4番目になったのは、そのときリストアップしてた10人そこそこの賛同者を年齢順にいいかげんに並べたら、たまたま4番目になったというだけのこと。だけど、河辺裕和プロの方が歳下だと思うんだけどね。

 そのあたりは、ものすごーくいいかげん。こういういいかげんなことをやらしたら世界一の人物がリストを作ったから、こんな結果になるのも無理はない。その人物は、皆さんもよーくご存じのはず。その後、増えた賛同者を間に入れたり、最後は整理がつかなくなって後ろにどんどん加えていったから年齢順も意味がなくなってしまったりで、現在のリストができあがったというわけ。まあおそらく、リストを作った人物は、これだけの名前がそろった段階で大いに満足して、並べる順番なんか最後はどうでもよくなっちゃったんだろうね。ものすごく優秀なルアーを作るのに、ボートの上はグチャグチャなのと同じですなあ。この推測、けっこう当たってると思うよ。

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