Presented by B.B.C./Biwako Bass Communications

06/01/13

琵琶湖レジャー条例見なおしで
ボートはどうなる

 滋賀県の琵琶湖レジャー利用適正化条例見なおしで、バスアングラーが乗ってるボートがこの先どうなっていくかについて、バイタルスピリットの菱田敬一さんに聞いてみました。菱田さんは滋賀県フィッシングボート協同組合の理事で、琵琶湖レジャー利用適正化審議会の05年度の審議委員でもあります。

 条例見なおしでプレジャーボートの非環境対策型2ストローク船外機の使用禁止が先延べされる件については、審議会の答申を受けて県が3年間先延べの条例見なおし要綱案を議会に提示し、1月16日までパブリックコメントを募集中です。すでに審議会の手を放れ、議会でどうなるかという段階ですね。そこで3年先延べが決まったとして、どのように実施されるのかが問題です。

 Yomiuri On-Line滋賀が昨年12月15日付で伝えたところによると、「『猶予』の対象として、県は▽水上バイクやボートを保管するマリーナが、県と協定を結ぶ▽マリーナは、個々の利用者が環境対策型エンジンに転換する時期などを明記した計画書を作成▽計画順守を確約した利用者に、県が猶予の『認定』を与える――ことなどを想定している」とのことで、マリーナなどを通さないと県の認定は得られないことになりそうです。このあたりに滋賀県の本音が垣間見えますね。つまり、本当に規制したいのは、もっとはっきり言えば琵琶湖から追い出したいのは、どこから来てるかわからない行儀の悪いボートや水上バイクだということです。その目的に対しては、今回の改正はある程度有効かもしれません。まあ、迷惑をほかの水域へ移動させるだけだと言われてしまえばそれまでですが……。

 ただし、マリーナが県と結ぶ協定や転換計画の内容については、現時点でまったく不明のままです。その点について審議委員が県に質したところ、あとは県がちゃんとするから審議会などに意見を聞くことはないというきっぱりした答が返って来たとのこと。ですから、議会で先延べが決まったとしても、それにどれぐらい厳しい条件が付いてくるかなんてことは誰にもわかりませんし、バスアングラーが意見を言う手だてはパブリックコメント以外にはありません。滋賀県のパブコメに対する態度は、今さらバスアングラーの皆さんに説明するまでもないでしょう。その点はボートオーナーやマリーナ関係者などにとって不安要素かもしれませんね。

 実際の現場ではどうなるか。マリーナにボートを預けてるオーナーは、マリーナにまかせるしかないんじゃないでしょうか。それ以外の持ち込みのボートオーナーは、少なくともどこかのマリーナのスロープを利用して揚降しないといけなくなりそうです。そうすることで、マリーナを経由してる形にするわけですね。それでも県の目的にはかなってるから認められることになるんじゃないか、それを拒絶するほど県はバカじゃなかろうというのが菱田さんの意見です。ただし、本当にそうなるかどうかはわかりません。なにしろ相手は滋賀県ですから、菱田さんの期待を見事に裏切ってくれる可能性だって十分あり得ると思っておかないといけません。

 マリーナの状況は、南湖は保管スペースがいっぱいの所が多くなってるそうです。これは必ずしも琵琶湖全体の稼働ボートが多くなってるのではありません。北湖のマリーナからの移動組が多いのと、今まではマリーナに入ってなかったボートを南湖のマリーナに預けるケースがかなりあるようです。一部には南湖ならまだ釣れるという判断が働いてるのかもしれませんね。

 ボートのセールスは新艇、中古とも昨冬以前の同時期にくらべて依然としてとてもスローな状態が続いてるとのこと。新艇が売れないのは、これはもう滋賀県のおかげと言うしかありません。中古が動かないのは、買い手以上に売り手が少なくなってるからのようです。中古艇のセールスというのは、値頃の気に入ったボートが売りに出てるから買おうかという現物取引のケースがほとんどなわけですから、ボートを乗りかえる、あるいは手放すアングラーが少ないと、ほしい人はいても売る玉がない状態になってしまいます。普通だったら、そんなときは相場が上がるんですけど、そういうことも起こり難い状況なんですね。

 そんな現状が2スト規制の3年先延べでどうなるか。バスフィッシングが好きでお金があるアングラーは、そんなことに関係なく環境対策型船外機を載せた新艇を買うでしょう。現在の琵琶湖に多いのは、リリース禁止と2スト規制で市場にどっとあふれ出て安くなった中古艇を買ったアングラーです。その人達がこれから先もボートを乗りかえてバスフィッシングを続けてくれるかどうかが大きな課題になると菱田さんは指摘します。そうはならず、ボートも船外機も更新されないまま先延べの猶予期限を迎えたら、そのときはボートもバスアングラーも琵琶湖から一気に消えるしかありません。

 その先に待ってるのは、ごく少数のボートアングラーだけのパラダイスでしょうか。あるいは、駆除も環境破壊もやりたい放題のゴーストタウンのような琵琶湖でしょうか。そんなことにならないために、現在と将来のボートオーナーに向かって、本当はどうするのがいいかをちゃんを説明していかないといけません。将来のボートオーナーとは、広く一般のバスアングラーのことです。その意味では、バスフィッシングを仕事にしてる人と一般のバスアングラーの信頼関係がこれからますます重要になってくるんじゃないかと菱田さんの説明を聞いて思いました。

 常任委員のジャッカル加藤誠司プロと違って、菱田さんの審議委員の任期は今年度いっぱいです。条例見なおしの答申が出た時点で、年度内の審議会は終了とのことですから、審議委員としての仕事は実質完了したことになります。条例見なおしの山場とも言える1年間、たいへんご苦労様でした。と言っても、琵琶湖のボート関係のアンカーマンとしての重要な仕事はこれからも続きますから、まだまだがんばっていただかないといけません。どうかよろしくお願いします。皆さんも、フィッシングショーなどで菱田さんの姿を見付けたら、見かけほど恐い人ではありませんので、ご声援をよろしくお願いしますね。

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