Presented by B.B.C./Biwako Bass Communications

04/10/23

台風23号の大波で
すさみ漁港の防波堤が倒壊

 「俺が知ってる中では、おそらく一番えらかったんちゃうかな。第二室戸台風のときよりえらかったと思うで」と言うのは、和歌山県すさみのルアー船、智丸の朝本智夫船長です。61年9月の第二室戸台風は、今回の台風23号とよく似たコースを進んで、室戸岬で84.5m以上の瞬間最大風速を記録しました。ただし、なにしろB.B.C.服部が5歳のときですから、そう言われても比較のしようがないんですけどね。

 一番ひどかったときは、すさみ漁港の港内でも波の高さが最大5mぐらいあったそうです。沖の波は誰も見てないから正確にはわからないけど、10mは越えてたんじゃないかとのことです。台風が室戸岬の近くを通ったときに、室戸岬沖のGPS津波計が15mの波高を記録してますから、紀伊半島南部がそれに近い波だったとしても不思議ではありません。

 台風23号によるすさみ漁港の被害は、テレビや新聞のニュースが伝えてる以上です。沖の防波堤が崩れたのが10月20日午後4時頃で、それから大きな波が港内へ打ち込み始め、岸壁に近い所にある漁協の建物や倉庫などに波が打ち付けて、窓ガラスが割れたりアルミサッシのドアが壊れたりスレートが割れたりしました。

 すさみ漁港は防波堤が二重になっていて、漁船がたくさん係留されてる舟だまりは内側の防波堤の中にあります。その舟だまりを守ってる防波堤が、あまりの大波に倒壊しました。こっちの壊れ方の方が沖の防波堤よりひどくて、ケーソンが土台からずれて落ちてしまってます。沖の防波堤が崩れた後は、守るものが何もない状態ですから、よほどひどい波だったんですね。

 その防波堤につないであった20隻ぐらいの漁船が流されました。舟だまりの中は漁船でいっぱいですから、流された漁船をなんとか係留しなおさないと、ほかの船にぶつかったりしたらただではすみません。漁師が総出で作業にかかったんですけど、防波堤が倒壊するほどの波風の中ですから、まさに命がけです。

 流れた船の一部は、大きな波に押されて舟だまり内の突堤に乗り上げてしまいました。新聞に写真が載ってた、漁船が乗り上げた突堤は、ルアー船の智丸が普段係留してる所です。もっとひどいのは突堤を乗り越えました。突堤の内側にはたくさんの漁船が係留してあって、そのロープが交錯してる上に漁船が落ち込んで、宙に浮いた状態になったそうです。それを外すのがたいへんで、多くの漁船が傷付きました。智丸も舳先の所に傷が付いたんですけど、起こったことから考えれば最小限の損害かもしれません。智丸を係留してたロープは、乗り上げた漁船の船底塗料が付いて真っ赤になってました。「これぐらいですんでよかったよ」と朝本船長は言ってます。

 沈んだり突堤に乗り上げたりしたのは、倒壊した防波堤に係留してあった漁船です。3隻が沈んで、1隻が突堤に乗り上げたままになりました。その中には、01年5月5日に開催された第1回キャスティング&ジギング大会のときにB.B.C.服部が乗った笑福丸も含まれてます。それ以外にも、たくさんの漁船が壊れたり傷付いたりしてます。

 現在は港が機能しなくなってるので、次の台風24号が来たら船をどこへ泊めるかの相談が行われてます。それが落ち着くまでは、しばらく漁も釣りも動きが取れそうにありません。なにしろ、もし次の台風の台風が来たら、港を守る防波堤がないわけですからね。智丸もいつになったら釣りに出られるようになるか、今週末はまず無理として、来週になって台風24号がどうなるか、それがはっきりしてからでないとわからないんじゃないかとのことでした。※注 23日の情報では、智丸は24日から釣りに出るとのことです)

 紀伊半島南部では、すさみ漁港以外にも串本の白野漁港と須賀漁港でも防波堤が倒壊したりずれたりする被害が出ています。串本海中公園センターでは、岸から海中展望塔へ渡る鋼鉄製の橋桁と展望塔に近い橋脚1基が流失しました。大雨による被害もすごいんですけど、海もとんでもないことになってたんですね。一刻も早い復旧と、今年はもうこれで終わってくれるように、台風24号が来ないように祈りたいと思います。

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