Presented by B.B.C./Biwako Bass Communications

Editorial
Vol.88(09/10/29)

ニュースの読み方

 思わず突っ込みを入れたくなってしまう内容の新聞記事がこの2カ月ちょっとの間にいくつかあったので、本当はどうやねんというところを書いておきたい。

池原ダムで外来生物法違反容疑(jiji.com 09/08/19)
バス運搬容疑で現行犯逮捕(asahi.com 09/08/20)

 奈良県池原ダムで釣ったバス2尾を車に乗せたクーラーボックスで生かしていたバスアングラーが外来生物法違反で現行犯逮捕されたという記事(asahi.comはすでに削除)。この事件のことを知って、バストーナメントや釣り大会の開催方法を再検討したり、場所を変更したという話を聞いた。確かに記事だけを見ると、警察がこんな取り締まりをしているのかと思ってしまう内容だが、地元で聞いた話によると、実はこのアングラーは釣り禁止のダムサイト付近で釣りをしているのを過去に何回も注意されていて、それでも聞かないのに業を煮やした警察が外来生物法違反でとっ捕まえたというのが本当のところで、わざわざ外来生物法違反の取り締まりをやったとか、そんなことではないらしい。まあそれでも、法律に触れそうなトーナメントや釣り大会は考えなおした方がいいのは間違いないけどね。

守山で湖底ゴミの実態調査(毎日jp滋賀 09/09/28)
湖底ゴミあまりの多さに驚き(毎日jp滋賀 09/10/06)

 NPO法人びわ湖トラストが守山市の琵琶湖岸や沖合で湖底ゴミの実情調査を行い、ビニール袋やペットボトルなど約300kgを回収。内訳はビニール系が約75kg、ペットボトル24kg、空き缶9kgなどで、農業用のビニール袋が目立って多かったという記事(すでに削除)なんだけど、守山市や守山漁協が協力したという話を聞くと、湖底に残されたワーム類をどっと回収して「どうや!!」と言いたかったけど見付からなかっただけなんじゃないかなあと思ってしまう。最初からブルーギル狙いの釣り大会、ほとんど外来魚しか掛からないとわかった上でやってる体験地引き網、そんなのと狙いは同じだけど結果が違ってしまったんじゃないのかねえ。

ブルーギルのDNA解析(Yomiuri On Line 09/10/23)

 水産庁からブルーギルのDNA解析を依頼された三重大教授らが全都道府県56地点の1398尾と米国13地点319尾を採取して調べたら、国内採取のすべてのギルのミトコンドリアDNAの塩基配列が1960年に天皇(当時は皇太子)に贈られたギルの捕獲地であるアイオワ州グッテンベルグの1地点から採取したものと完全に一致したという記事。つまり、今回調べた国内のギルはすべて1960年に移入された15尾のギルの子孫である可能性が極めて高いことになる。これも上の記事と同じ、水産庁は別ルートの移入を証明しようと思ったんだけど、結果はすべて一系統であることを強力に裏付けることになってしまって、かえってまずいことになってしまったと、そういうことなんじゃないのかなあ。

職安所員が釣りプロ兼業で懲戒(Chunichi Web09/10/26)
釣りガイドの職安職員に戒告処分
(京都新聞電子版 09/10/26)
釣りガイド兼業労働局職員を懲戒
(msn産経ニュース 09/10/27)
国家公務員の釣りガイドに戒告処分(asahi.com 09/10/27)

 フィッシングガイド兼業の公共職業安定所員が国家公務員法違反で戒告処分になったという記事。採用以来15年間兼業を続けていたという話なんだけど、厚労省に匿名メールが届くまで本当に発覚してなかったのか!? これって実は職場の上司も同僚も前々から知りながらずっと続いてきたのが、上から言ってきたために何らかの決着を付けざるを得なくなり、その結果、免職でも減俸でもなく戒告という存外に軽い処分で折り合いを付けたと、そういうことなのではなかろうか。今さら言われても、上司も事を大きくして監督責任なんか取りたくないからね。15年間も釣りと仕事が両立できてきたという事実から察するに、仕事は仕事で人並み以上か平均的かは知らないけどちゃんとできてたんでしょうなあ。そこらの匿名プーとは、そのあたりが決定的に回復不可能なまでに違うということか。それと、匿名メールという手段については、決して正義や国民の利益のためではなく、嫉妬や嫌がらせの類と理解するのが正解。正義のためなら正々堂々と住所氏名ぐらいは名乗るものでしょ、常識的に考えて!! そんなのをまともに相手してるお役所って、いったい何なんだろうね。

 という風に、メディアが伝えるニュースは決してそれがすべてではなく、いろいろと伝えていないことがたくさんある。それが権力や利権によるコントロールであったり、一部の人達とメディアの利害が一致した結果であったり、お金儲けのための事情であったり、悪意なき無知や取材不足が原因であったり、まあいろんなケースあるということをよく理解した上で利用しないと本当のことが見えなくなってしまう。そんなレベルでなくても、根も葉もないデマや必要以上に誇張された噂話がネットを飛び交う昨今。そんなのに踊らせられないようにするには、本当に信頼できる情報源を持たないといけないと思うんだけど、それがおいそれと見付からないから困ってしまうんだよね。まあ、今さら死んだ子の歳を数えても始まらないということか。

 って、本当に死んでるんだろうか。もしかしたら死んでるふりしてるだけかも。これだからメディアって怖いんだよね。

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