Presented by B.B.C./Biwako Bass Communications

Editorial
Vol.35(04/02/17)

バスアングラーに求められる三つのアクション

 Kyoto Shimbun Newsが2月16日付けで伝えたところによると、滋賀県は2004年度中にソナーとテレビカメラを装備し電動式アームで引き揚げ作業ができる水中ロボットを1500万円の予算をかけて導入し県警に配備することを発表した。県と県警は、バスアングラーに捜索の協力を求めたり、一緒に捜索活動をしたり、感謝状を出したりするのがよほど嫌なようだ。

 昨年9月に起こったヨット沈没事故のときに役に立たなかったロボット水中カメラは、元々琵琶湖の研究調査用に導入されたもので、事故捜索用に開発されたものではない。動きも鈍く、視界も限られている。それをソナーなどの装備で補おうということらしいのだが、たくさんの税金を使ってそんなものを導入しても、事故がなかったら維持管理費がかかるだけで宝の持ち腐れである。それよりも、琵琶湖に何100隻も常駐してるバスボートを活用し、夏でも冬でも出艇して魚探をにらみながら釣りをしてるバスアングラーによる捜索協力体制を整えることを考えた方がお金もかからないし、よほどスピーディーに広範囲の捜索が行えるはずだ。

 そういうことをしようともしないのは、現國松政権下の滋賀県の政策によれば、バスは近い将来琵琶湖から完全に近いレベルまで駆除されるはずで、そのときバスアングラーはいなくなるはずだから、そんなものに期待するわけにはいかないからではないのか。自分達が存在を認めたくないものを捜索に活用したり、そのための協力体制を整えたり、そんなことは絶対にしたくないからではないか。

 そのことは、一刻を争う捜索が行われていた真っ最中に、バスアングラー達が協力しようと現場へ駆け付けたにもかかわらず、それを無視しようとした警察の態度によく表れている。新聞やテレビなどのメディアも最初のうちはバスアングラーが捜索に協力してることを無視し続けてたのが、湖底に沈んだヨットを彼らが最初に発見するに及んで、やっと一部の新聞だけがそのことを伝える結果になった。このあたりの現実にあることを無視し続ける態度は、「バスやブルーギルは日本にいてはいけない」などという低次元のところで思考停止状態に陥ってる人達と同様である。

 そんなあげくの果てに1500万円の税金を使ってソナー付きロボットカメラを導入しないといけないことになったのだとしたら、これも琵琶湖で外来魚のリリースを禁止したことによる悪循環の一つ。國松政権の失政による悪影響が、こんなところにも出てくる。生物多様性よりも失政の影響の多様性の方が滋賀県ではよほど大きな問題ではないか。

 だからと言って、バスアングラーの側も同じように頑なになってたのでは事態は何もかわらない。こちらから必要な協力態勢を整えて、何かあったときにいつでも捜索に出られるようにしておかないといけない。そんなこともできないのでは、バスアングラーとの対話を拒否し続けてる滋賀県と同じ穴のムジナになってしまうが、捜索協力体制を整える作業は滋賀県フィッシングボート協同組合などによりすでに始まっているからご安心を……。

 利権という頑強な基礎工事の上に甘い汁という骨組みを建て、誤解という壁や無知という窓を保身や名誉欲などのクギやネジで仮止めして築き上げたリリース禁止というバベルの塔は、バスアングラーによる嵐のように猛烈な反対運動あって、いまやボロボロになりかけている。窓は割れ、壁もはがれて、いくつかの尖塔はすでに倒壊した。それでもまだ一部にリリース禁止に向かう動きがあるのは、自分達の無知や誤解に気付いた窓と壁の多くがハリネズミのように丸まって嵐に絶え、一部は気付く前よりも凶暴に牙を剥いて風雨を跳ね返してることで、骨組みや基礎がなんとか持ちこたえてるからだ。

 それを骨組みから基礎に至るまで突き崩すには、嵐を大地震にかえないといけない。そのためには三つのアクションが必要だ。一つは、バスアングラーが普通に信頼するに足る人達であるというあたりまえの事実を目に見える行動で示して、まわりの人達に理解してもらうこと。これは、かなりうまくやれるようになってきた。上に書いた捜索協力やフィールドのクリーンアップ、署名運動などは、そのために有効な活動である。ただし、行動はリリース禁止反対のためではなく、打算抜きに捜索に協力したい、釣り場をきれいにしたい、署名の目的に賛同して協力したいという気持ちからでなくてはならない。そんな本心からの行動を続けていけば、いつかはバスアングラーが周囲の人達から信頼されるようになり、丸まったハリネズミ達をバベルの塔から開放することができるだろう。

 もう一つは理論武装。言いかえれば、自分達の無知や間違いに気付きながら、なおも居直ってる人達、つまり凶暴化したハリネズミをどう始末するかという問題だ。おそらくハリネズミの頭では、無知や間違いを認めるなんてことは期待できるはずもないから、そんなのは相手にしないで、バスアングラーの言い分は別の方向に発することを考えないといけない。そうすることで、ハリネズミが無知で間違ってることに気付いた人達がバスアングラーの言い分を聞いてくれるようになり、まともなことをまともに言えるようになるわけだ。今はその中途段階で、ハリネズミの一員だったメディアの一部をやっと群れから開放することができて、バスアングラーの言い分を少しは聞いてもらえるようになったところである。まだまだ努力は続けないといけないが、これも相手チームのエラーやボーンヘッド、作戦ミスなどがあって、そこそこの成果は上がっている。その点は幸いである。

 最後に、今のところこれが一番できてないのだが、これからは少しでも多くのバスアングラーが結集して政治力を持つことが絶対に必要になってくる。そのための準備は釣り協がなんとかしようとしているところで、作業はまだ緒に付いたばかり。フィッシングショーOSAKAでは釣り協の滋賀と大阪、全日本の役員さんが顔を合わせたとのことだから、今年あたりは何か具体的な動きがあるかもしれない。結局のところ、問題は参加意識のない1人1人のバスアングラーをどうやって組織するか、他の釣種のアングラーとの協力体制をどうやって作り上げるかということに帰結しそうである。つまり、周囲の人達に理解してもらったり、理論武装したりということはある程度うまくいってるのに、アングラー自身の内部問題が一番片付いてないのが実際のところだ。

 問題は簡単に片付きそうもないが、解決に向かっての努力は続けられているし、ここには書けないような成果が上がってることも間違いない。これらのアクションがすべてうまくいったとき、嵐は大地震にかわって、窓や壁は吹っ飛び、骨組みは傾き、基礎にひび割れが入って、ついにリリース禁止のバベルの塔が倒壊することになるであろう。その日がいつかはわからないが、行動は地道に根気よく続けないといけない。

 琵琶湖でまた事故があったら、バスアングラーは前よりも早く捜索の協力に駆け付けて、1500万円のソナー付き新ロボットカメラに負けずにがんばらないといけない。バスボートを20隻出したら総額約1億円になるが、そんなことは口にも出さず、魚探とにらめっこしながら黙々とボートを走らせ続けないといけない。要はそれを見た人達がどう感じるかということである。

 大江川年末清掃大会のフォーラムに参加するために茨城からわざわざやって来た吉田幸二さんの姿を見て、B.B.C.服部はフィッシングショーOSAKAで署名を集めた。そのことを知ったFB's岐阜Ever Fishing 東海のメンバーがインテックス大阪まで応援に来てくれた。濱田禎二プロも手伝ってくれた。Bassingかわら版で署名のことを知って、会場内を歩き回ってB.B.C.服部を探してくれた人が何人もいた。バスアングラーが今一番考えないといけないのは、そういう行動の連鎖をどこまで拡げることができるか、そのためには具体的に何をどうすればよいかということではないだろうか。

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