Presented by B.B.C./Biwako Bass Communications

Editorial
Vol.5(02/10/01)

琵琶湖のバスフィッシングにとどめを刺したのは誰か

 9月25日から滋賀県議会が始まり、県知事が「滋賀県琵琶湖のレジャー利用の適正化に関する条例」の条例案を提出した。同条例はこれから県議会での本格審議にかけられるわけだが、どうやらすでに結論は出ているようである。琵琶湖で釣ったバスのリリースは、来年4月から同条例により禁止されるだろう。2万余にものぼる反対意見が寄せられたにもかかわらず、リリースを禁止する条項は事実上まったく何の修正もなく通る公算が極めて大きい。もし今からひっくり返るとしたら、それはブッシュとフセインが握手して武力衝突なく事態が収拾するのに匹敵するぐらいの奇跡だ。

 ことここに至るまでにいろいろとあったが、詳しくはB.B.C.ホット情報をごらんいただくとして、最後の最後に事態を決定的にする動きがアングラーの側からあった。今回は、そのことについてお伝えしておきたい。

 9月末の県議会の開会をにらんで、日本釣り振興会の琵琶湖バス釣り人協議会は9月10日、滋賀県に対して意見書を提出した。その主な内容は、規模の大きなトーナメントではバスをリリースしないかわりに、それ以外のトーナメントや一般のアングラーが釣りをするときのリリースは禁止しないという改正案である。

 ところが9月18日に滋賀県が発表した条例案は、要項案の内容から事実上何の修正もなく、「琵琶湖におけるレジャー活動として魚類を採捕する者は、外来魚(ブルーギル、オオクチバスその他の規則で定める魚類をいう。)を採捕したときは、これを琵琶湖に放流してはならない」とするものであった。

 これに対して日釣振はまたもや9月20日に公開質問状を県知事に出した。その内容は、外来魚の再放流禁止の撤回、削除を求めるとともに、条例に盛り込まれたリリース禁止の根拠を質し、9月30日までの回答を求めている。

 そして9月25日に滋賀県議会が始まり、知事が条例案を提出した。問題は、この条例案のうちの外来魚のリリース禁止が修正あるいは削除される可能性があるかどうかだが、きれいさっぱり削除される可能性は、はっきり言って最初からなかった。なぜなら、そんなことしたら知事や議会だけでなく賛成派の面目まるつぶれで、それこそ県政の支持基盤が揺らぎかねないからである。

 そこで修正に一縷の望みを託して出されたのが琵琶湖バス釣り人協議会による意見書だ。これはそのまま通らなくても何らかの修正が行われるためのたたき台になればよいという性質の提案だったのだが、実はこの意見書が、9月20日に日釣振が公開質問状を出したときに撤回されていた。一部の新聞にも載っていたので、すでにご存じの読者の方もおられるかもしれないが、これはしかし、よく考えてみれば、とんでもない行為かもしれないのである。

 県側は条例で外来魚のリリースを禁止しようとする。アングラーの側は、それに反対してリリース禁止の撤回を求める。話し合いはいつまでたっても平行線で、歩み寄りの気配はない。そこで出された妥協案が、琵琶湖バス釣り人協議会による意見書だ。ところが、こともあろうに同協議会の上部組織である日釣振みずからが意見書をなかったことにして、リリース禁止の撤回、削除を再度申し入れた。今の段階で一度出した妥協案を引っ込めて100%反対の立場に戻るというのは、妥協の余地はない宣言しているに等しい。つまり、リリース禁止か白紙撤回かどちらかにしてくれと言ってるようなものだから、筋書きはこれで決まり。条例案は修正なく通ってしまうであろう。

 なぜ今になってこのような動きが出てきたのか、まったく理解しかねる。意見書を撤回した理由は「状況がかわったから」とのことらしいが、これでは何の説明にもなっていない。ということはつまり、説明したくないか、説明できないような理由があると思われても仕方がない。深読みすれば、次のようなことも考えられる。日釣振の中には、琵琶湖のバスのおかげで成功してる人達が嫌いな一派もいるのではないか。そういう勢力にとっては、何が何でも条例案に反対したことにしておいて、実はリリース禁止がそのまま決まって琵琶湖のバスフィッシングが壊滅すれば、それはまさに狙い通りではないのか。このような勘ぐりをされたくないのであれば、誰にでもわかる説明をするべきであると思うのだが、これって何かおかしいことを言ってるだろうか。

 著者はまだこの先に大どんでん返しが用意されている可能性も捨て切れないでいる。アングラーと業界の危機感が頂点に達したところで、どこかの大政治家あたりが出てきて、適当な落としどころに丸くおさまって、双方面目を保って万々歳。大政治家さんは恩を売れてよかったね。そのための露払いをした日釣振の偉いさんは、やはりさすがのことはあると株を上げる。加藤誠司プロはよくがんばったねご苦労さん。みたいな決着の仕方も0.01%ぐらいの可能性ならあるかもしれないと思っているのだが、これって政治の世界に足を突っ込んだ加藤プロからのよくない影響だろうか。

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