Teck Performer Vol.12

塚本謙太郎
The 漁師クランク Take off

Teck Performer

■琵琶湖ガイド仕様ウッドクランク

 「B7よりもよく飛んで、波動の大きなクランクベイトがほしい!」

 琵琶湖のプロガイド達やテキサス、アラバマのプロアングラー達の要望から生まれた「漁師クランク」は、B7よりも一回り大きな3インチサイズのクランクベイトです。

 このルアーを開発するにあたって最初の難題がボディの材質でした。近年のブームでは一般的に「バルサボディ特有の強い浮力と細かいピッチのバイブレーション」こそがよいクランクベイトの条件とされています。しかし比重の軽いバルサは空気抵抗の影響を受けやすいだけでなく、泳ぐ際の水の抵抗も受けやすいという特質を持っています。つまり細かいピッチのバイブレーションとは水の膜に負けて押し返されている状態なのであって、ショアラインのカバーまわりならともかく、グラスのフラットが広がる琵琶湖のようなビッグレイクでフルキャストした際に、明確なバイブレーションを感じるという方向性からは離れていく結果となってしまうと感じたのです。

 この段階で一つのイメージが固まってきたのですが、果たしてそれが受け入れられるのか不安が残りました。その不安を払拭してくれたのが杉戸の一言でした。

 「なんかアメもんのハンドメってバラツキあるやろ!? そん中で、みんながアカンっていう重いやつな。アレが釣れるねん」

 まさにボクのイメージをそのまま射抜いたような一言でした。ある程度大きなフィールドで、グラスマットが広がるレイクや、水面が荒れやすいフィールドにおいて、ラトルのような圧力変化による衝撃波ではなく、流体としての波動は大きなピッチの力強いものが効果的であることをプロガイド達は理論ではなく経験と勘で理解している。それを知った瞬間にすべての方向性が決まりました。

■素材とデザイン

 ボディ素材に選んだのはバルサよりも比重の重いカリフォルニアレッドシダー。比重が分散することでキャスタビリティが安定する他、慣性力が増すことによって水圧に負けず、テールで強く水を蹴り続けます。それはラトルのような水圧変化による衝撃波ではなく、小魚が逃げ惑うときに発生させる流体変化による波動。視界の遮られるグラスエリアにおいてもナチュラルに魚の食性を刺激します。

 ウッドという天然素材ではバラツキの少ない原木供給がとても大切です。厳選した原木の供給ルートの確保はもちろんのこと、アンダーコートの前にも一工夫しています。シーラーという目止めの段階で、原木に強度を持たせると同時に比重の安定化を行なっています。これによってフックに付いたグラスを水面で叩き、一撃で粉砕してしまうようなことはないでしょう。

 ボディデザインには大型クランクベイトには少ないタイトな横幅のデザインを採用しました。プラ製よりも軽いシダー材では、大きさに伴った十分な浮力が確保できるため、背面抵抗の大きな丸っこいデザインを施す必要がなく、それによって釣り人がルアーのバイブレーションを感じるのに邪魔なボディ背面に受ける水の抵抗を少なくすることができ、結果、より明確なバイブレーションを感じることができるとともに、あたかもルアー自身が自分で水を蹴って進んでいるようなナチュラルな波動を生み出すことができます。

 また、巻き抵抗が少ないということは、リトリーブ時にロッドにかかる負荷が少ないということに繋がり、ロッドにかかる負荷が少ないということはロッドの芯(反発が強くなる部分)が出難いということ。つまり小さなバイトやグラスカバーへのタッチという微細な感覚やフレキシビリティをロッドに残すことができると言えます。グラスマットエリアに点在するスキャットしたグラスをピンポイントでサーチし、浮かせる、止める、かわすといった小技とリアクションで確実に口を使わせていくようなときに非常に有効なアドバンテージになります。曲がったロッド、伸びたラインが戻ろうとする力は小技を打ち消してしまうからです。

 このことはグラスカバーへのコンタクトだけでなく、プリスポーンのリザーバーにおいても重要で、ボディウオーターに突き出た岬やクリークのマウスでロックやウッドカバーに捕まることなくアクションし続けるには、ルアーのフレキシブルなアクションこそが大切な要素になるのです。

 リップ素材には通常のシャロークランクよりも肉厚な1mm厚のFRPサーキットボードを、接着には耐水劣化性、引張強度、弾性に優れた特殊なエポキシ樹脂を使用しているため、キレのあるアクションを長く維持することができます。

 フックはオーナーST-36BC#2、リアル10パウンダー対応の漁師(プロ)仕様です。

■なぜクランクベイトなのか

 これまでグラスエリアの定番とされてきたスピナーベイトやバイブレーションプラグ。最近ではクランクベイトによるグラスエリア攻略、グラスカバークランキンなるものがアメリカでホットな話題であるようです。スピナーベイトよりもスレ難く、バイブレーションプラグよりもていねいに攻めることができるクランクベイト。コールドフロント等の悪条件が重なったときにこそ試してほしい釣り方だと思います。

 クランクベイトのようなハードルアーを使う場合、常にロッドに余力を残しておくことがとても重要です。小さな負荷で簡単に芯が出てしまうロッドは、一見すると感度に優れグラスを切るときに楽なのですが、反面小さな力ですぐに芯が出てしまいバイトを弾いたりバレたりしてしまうことがあるほか、ルアーがコンタクトしたカバーの種類を見分けることが難しくなります。フレキシビリティとトルクを持った弾性の低いロッドを選ぶとよいと思います。

 最後になりましたが、初の琵琶湖向けアイテム発表ということでテックパフォーマーのページをいただきました。これから数カ月のうちに琵琶湖周辺の少数のショップで販売を開始する予定です。また、今後もいくつかのニューアイテムをリリース予定ですのでよろしくお願いします。


The 漁師クランク
3in 3/4oz
潜行深度 ディープ 3〜4m
     シャロー 1.2〜1.5m

ハンドメイドクランクビルダー 塚本謙太郎

漁師クランク取扱店一覧

解説
塚本謙太郎
(つかもと・けんたろう)

1970年生まれ、福岡県在住。嘉麻市のタックルショップ、つりぐのナカムラ店主兼ハンドメイドクランクベイトビルダー。シマノ、オーナーばりインストラクター。携帯サイト爆釣チャンネルで「九州ハードコアスタイル」執筆中。

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