Teck Performer Vol.5

杉戸繁伸
スピナーベイトの3要素

Teck Performer


デリートマスターにヒット!!
画像をクリックするとFlashムービーが表示されます

■スピナーベイトというルアー

 初めてスピナーベイトを見たとき、まさかこれで魚が釣れるとは思えなかったという感想のアングラーは少なくないはず。実は昔、私もそのうちの1人でしたが、今では正反対となり、年間を通じて使用頻度の高いルアーの一つになっています。

 スピナーベイトにもいろんな種類がありますが、ヘッドやブレードの形状が多少異なるだけで、それ以外はほとんど同じように見え、その差が明確にはわかり難いと思います。しかし、他のルアー同様、実際投げて引いてみると、各スピナーベイトそれぞれに特徴があり、実はそれが結果に明らかな差を生む要因になっているわけです。

 ヘッド、アーム、ブレードの組み合わせからなるスピナーベイトですが、なぜかデカバスに効くというのは多くのアングラーが体験しており、私も琵琶湖でデカバスを狙うには欠かせないアイテムになっています。これは琵琶湖に限ったことではないので、サイズを狙うのであればスピナーベイトをマスターしておくことをお勧めします。

■なぜスピナーベイトなのか

 スピナーベイトの最大の特徴の一つに、カバーまわりを早いテンポで釣っていけるということがあります。ハードルアーの中では最も障害物回避能力に優れ、様々なストラクチャーやウィードなどを避けることなく、積極的に早いテンポで釣っていくことが可能です。このことは広大な釣り場におけるサーチベイトとして優れているだけでなく、野池や川などの障害物が多い釣り場でも応用範囲が非常に広く、岸釣りアングラーからも愛用されるゆえんでもあります。

 琵琶湖であれば広大なウィードエリア、リーズなどがスピナーベイトが活躍するメインステージ。例えばフラットウィードで有名な赤野井沖、北山田沖などはいろんな種類のウィードが混在しており、場所によってハード系プラグを通すのはかなり非効率な釣りとなります。そこでスピナーベイトを使えば、フラットウィードの水深1mのインサイドから4mのアウトサイドまで、ウエイト設定を少しかえるだけでテンポをかえず釣っていくことが可能です。

 まったく同じように見えるエリアにおいては、線の釣りで、とりあえず魚を探しながら釣っていくのがバスフィッシングのセオリー。ゆえに、一つのルアーで探れる範囲が広く、かつテンポをかえず釣っていけるということは、最終的な答を導き出す最も近道になります。その釣り方に一番順応しやすいスピナーベイトの能力を最大限引き出すことが、バスアングラーの強力なアドバンテージとなるわけです。

■スピナーベイトに求められる能力

 私の場合、バスフィッシングの8割が琵琶湖でのガイドとなるため、それに適したルアーの出番が多くなるのが自然の流れですが、皆さんもご存知の通り、今の琵琶湖でデカバスを釣ろうと思うと、ウィードエリアをいかにうまく釣れるかどうかで決まるところがあります。ただこのウィードエリアが曲者で、これは地形や漁礁ではなく生き物、すなわち変化し続けることを念頭においてチェックしておかないと失敗します。さらに琵琶湖のウィードエリアは国内最大級の大きさであることも忘れてはいけません。

 それらの条件の中でスピナーベイトを考えていくと、まずは広大なウィードエリアを効率的にチェックできる飛距離が必要となりますが、ブレードの存在がマイナスに働きやすいので、まずこの飛距離が第一関門。場合によっては、それを補うためのタックルバランスから考えていく必要も出てきます。さらに広大なエリアチェックには、まずは延々引き続ける持続力が必要となりますが、これらは釣り人側の能力以外に、実はルアーとタックルの性能によるところが大きいのです。

 飛距離に加えて重要なのが、スピナーベイトを引いたときにブルブルと伝わって来る振動。この振動からウィードがどうなのか、今ルアーがどうなっているのかなどのいろんな情報を得ているわけで、これが乏しいと引き続ける集中力が維持できません。またこのブルブル感に伴って、引き抵抗が発生しますが、これも適度なものでないと、疲労が大きく長時間引き続けることが困難になります。

■タックルデータ

スピナーベイト(ヘビーウエイト)
ロッド シマノ・ファイナルディメンションTS-172H
リール シマノ・アンタレスDC
ライン サンライン・FCスナイパー16lb
ルアー シマノ・プロディジーデリートマスター21g
スピナーベイト(ミディアムウエイト)
ロッド シマノ・ファーレンハイトTS-168MH、PV-172MH
リール シマノ・アンタレスDC7(左)
ライン サンライン・FCスナイパー14lb
ルアー シマノ・プロディジーデリートマスター10g、14g

■デリートマスターというスピナーベイト

 細部に渡ればいろいろとありますが、とりあえず私がスピナーベイトに求める基本的性能は飛距離、適度な引き感、適度な引き抵抗の3要素。これらの基本的要素をバランスよく形にしたスピナーベイトがほしかった。そして、それがプロティジーデリートマスターという形になったわけです。このスピナーベイトについては私にも強いこだわりがありますが、もっと強い思い入れを持っているのは具体的に形状をデザインし、素材を選び抜き、最終的に製品にまで仕上げたシマノの開発担当者です。その開発担当者本人から、デリートマスターについて説明してもらいましょう。

■デリートマスター開発における二つの課題

 プロディジーデリートマスターは、ハイプレッシャーのビッグレイクを克服するための“コンパクトシルエット&ハイアピール”のスピナーベイト。そのキモは
1>違和感の排除。食わせやすいビジュアル&アクションであること
2>最新タックルと組み合わせた効率の追求。破格の遠投性能を持ち、高速回収がラクなこと
以上の二つです。

●違和感の排除・・・

 ビッグスピナーベイト=一発大物というイメージがありますが、琵琶湖に関して言えば「水深2.5〜4mのウィードエリアを線でトレースできる最も効率的なルアー」と考えることができます。あまり「一発狙い」のイメージを持ち過ぎずに、堅実に魚を獲るための巻き物と考えれば対応能力が拡がります。そう捉えると、従来のビッグスピナーベイトはいささかアピール過剰だったのではないでしょうか。ド派手な縦揺れが効いたのは過去の話。今の琵琶湖ではその手のベイトが効くのはほんの一瞬でしょう。最近流行るマキモノは、動きに関してはけっこう抑え目で、マキラバ/スコーンなどはその好例。嫌われない範囲内で最大限アピールするものが、効率よく探るルアーに求められる条件です。

 デリートマスターは見た目の違和感を減らすために、まず全体のシルエットをコンパクトに仕上げました。ブレードは小さくても振動が明確に伝わるハイエナブレードを採用。ヘッドはスカートの下にもウエイトを分散し、ワンサイズ小さく見えるように作りました。またアクションそのものは、なるべく過剰なアピールを抑えつつ、振動の伝達能力を高めることに注力しました。プレス加工を施したアッパーアームは縦方向の剛性と横方向の柔軟性をアップ。振動増幅のためのテーパードワイヤーの応用ですが、プレス加工ではブレード振動は横方向ばかりが増幅されてヘッドに伝わり、縦揺れを抑えつつ横方向のロール感が引き出されるようになりました。同様に、アッパーアームを曲げてブレードの回転軸をヘッドと平行気味に設定。スイミング姿勢が立ち過ぎない水平スイムになるばかりでなく、全体のシルエットがコンパクトになりました。

 これに、杉戸氏のリクエストであった(昔他社で採用されていた)、ベイトフィッシュをイメージさせるティンセルを採用。水平スイムでナチュラルに輝くティンセルは、最近の魚に対してはファーストインパクトとなるようで、氏いわく「食い方が違う」そうです。それらの相乗効果によって、「強いながらも違和感の少ないビジュアルアピール」を持たせることができました。これはハネラバにも共通の、超デカバスを欺くためのキーワードでもあるのです。

●最新タックルと組み合わせた効率の追求・・・

 琵琶湖のようなハイプレッシャーのビッグレイクを克服するためのもう一つの鍵、それは効率のよさです。スピナーベイトはブレードの空気抵抗によって、著しく遠投能力が劣ります。また長く細いアームがブレることで、飛行中に失速してします。コンパクト化したデリートマスターは、見た目だけでなく、飛行中の空気抵抗も小さくなっています。かなりリアヘビーなヘッド形状もあいまって、逆風でも回転せずにぶっ飛んでいきます。特にアンタレスのDCブレーキ&ファイナルディメンションTS-172Hといったロングロッドと組み合わせたときの飛距離は、次元を超えたものだと言えます。

 しかし、いくらぶっ飛んでくれても、ノーカンジでは意味がありません。デリートマスターのハイエナブレードは非常に振動が強く、遠く離れていても動きが手元に明確に伝わってきます。デカバスバイトによる一瞬のブレード回転の消失も、確実に捉えることが可能です。バイト後に反転せずにそのままこっちに走ってくる「追っかけバイト」が多いスローロールでは、フッキング時からかなり素早く巻かなければいけません。特にロングヘビーロッドを使うときには、グイグイ寄せてラインテンションを掛け続けることが必要なのです。意外に思われるかもしれませんが、このような理由から、アンタレスDC7に代表される超ハイギヤリールがスローロールに多用されています。ウィードカット直後に素早く巻き上げてブレード回転を立ち上げるなどでも重宝するはずです。

 しかし、この手のハイギヤリールで遠投したビッグスピナーベイトを高速回収するのは、非常に骨が折れます。デリートマスターのハイエナブレードは左右非対称カットのため、高速回転ではつかんだ水が抜けてしまいます。これによって引き抵抗が激減し、ハイギヤリールで高速回収可能なレベルを実現しています。飛んで、伝えて、回収がラク・・・効率アップを求めると、スピナーベイトは自ずとこの方向へと進化するはずです。

 以上がこのルアーのコンセプトと特徴でありますが、デリートマスターのネーミングには「不要な選択肢を消去し、正解を導き出す」という意味があります。杉戸氏の言うところの「効率よくウィードエリアを絞り込む」感覚はまさにこれだと言えます。ちなみにプロディジーとは「奇才」という意味で、これは90年代にUKを席巻したバンド「PRODIGY」にあやかって命名したもので、私の音楽の好みが見え隠れしますが・・・。同じく2007年のDVDカタログのタイトル「KINGDOM COME」もかのビヨンセのダンナ様でもある伝説のアーティストJAY Zのアルバムタイトルから拝借しました。ちょっと脱線してしまいましたが、とにかくこのデリートマスター、琵琶湖アングラーの一軍ローテーションに加えていただいても損はない!と自信を持ってお勧めできる逸品です。今はちょっとシーズンではないかもしれませんが、例年お盆過ぎにはスローロールパターンが効き始めるはず。ぜひとも一度使ってみてください。(シマノ開発担当)


ハイエナブレードの秘密
画像をクリックするとFlashムービーが表示されます

■USAでも活躍

 B.A.S.S.エリートツアーにフル参戦している桐山孝太郎が第5戦ガンターズビルで見事9位入賞。そのときに使用していたのがデリートマスター21gです。プラクティスから決勝まで延べ6日間に渡ってバイトが続いたのが、このデリートマスターだったと桐山は話してくれました。このガンターズビルという湖は琵琶湖をさらに大きくした湖らしく、まさにウィード攻略が上位入賞には欠かせないキモになったとのこと。琵琶湖とガンターズビル、デカバスに効く何かが、このデリートマスターにはあるみたいです。

桐山孝太郎タックルデータ
ロッド シマノ・ファイナルディメンションTS-172H
リール シマノ・NEWメタニウムMG7
ルアー シマノ・プロティジーデリートマスター21g

※ご注意 ムービーを観るためには下記プラグインが必要です。必要に応じてダウンロードしてください。

Flash Playerのダウンロードはこちら

解説
杉戸繁伸
(すぎと・しげのぶ)

1970年生まれ。滋賀県大津市在住。週末及び休日主体のフィッシングガイドとして大津市今堅田のリブレに所属。琵琶湖では20年以上のキャリアを持ち、ラバージグ、ジグヘッドリグ、ミノー、バイブレーションプラグ、クランクベイト、スピナーベイトなどを使った沖のウィードエリアや浚渫エリアでの釣りを得意としている。元JBプロとして94年4月に河口湖で開催されたJBプロトーナメントで、発売3日後のベビーシャッドを使って優勝したことはあまりにも有名。ハネラバの開発者で、シマノ・ファイナルディメンション開発チームの一員でもあり、そのタックル評価能力は高く評価されている。

Teck Performer
バックナンバー

Teck Performer